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この記事でわかること:ロスカット計算に使う3つの数字/基本の計算式/建玉の大きさで耐えられる評価損がどう変わるか/複数ポジションのときの判定/計算どおりに止まらない場面
ロスカットの水準は、有効証拠金・必要証拠金・ロスカット基準の3つが決まれば計算できます。逆に言えば、この3つのうち1つでも業者ごとの条件を確かめていなければ、出てくる金額は目安にもなりません。この記事では、条件を仮に置いた概算例で計算の形を示したうえで、その計算が当てにならない場面も同じだけ書きます。
なお、海外FXは元本および利益が保証されるものではございません。レバレッジ取引では損失が拡大し、相場急変時にはロスカットが想定価格で執行されず、預けた証拠金を超える損失が生じる場合があります。以下の数値はすべて条件を単純化した説明上の概算であり、実際の損失額や損失の上限を示すものではありませんので、ご留意ください。
ロスカット計算に必要な3つの要素

計算に直接使う数字は、有効証拠金・必要証拠金・ロスカット基準の3つです。入金額とレバレッジ倍率は、このうち「必要証拠金」を決めるための入口にあたります。よく「証拠金・レバレッジ・ロスカット基準」と説明されるのは、この入口のほうを指した言い方だと考えております。
| 要素 | 何を指すか | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 有効証拠金 | 口座の残高に、保有中の建玉の評価損益を反映させた額 | 取引ツールの口座状況 |
| 必要証拠金 | 建玉を維持するために拘束される額。一般には「建玉金額÷適用レバレッジ」で求められる | 業者の取引条件・取引ツール |
| ロスカット基準 | 判定に使う水準。多くは「有効証拠金÷必要証拠金×100」で出す維持率で示される | 取引約款・契約締結前交付書面 |
ここで一度立ち止まっておきたいのが、ロスカット基準の決まり方です。日本で金融商品取引業の登録を受けた業者であれば、金融庁の規制のもとで各社が水準を定めております。一方、海外に所在する業者は日本の金融庁に登録されていない場合があり、その場合は適用される法令も監督する機関も日本とは異なります。ロスカットの条件が日本の登録業者と同じではない、ということになるわけです。本記事は海外FXを扱っておりますので、水準そのものは必ずご利用の業者の最新の取引約款や契約締結前交付書面でご確認いただきたいのです。
基本的なロスカット計算式

ロスカット時の有効証拠金=必要証拠金×ロスカット基準(維持率)。入金額とその差が、耐えられる評価損のおおよその大きさになります。言葉だけだと掴みにくいので、条件を仮に置いて数字を入れてみます。
入金額10万円、必要証拠金5万円、ロスカット基準は有効証拠金維持率50%で判定する業者、という前提とします。このとき、ロスカット時の有効証拠金は 5万円×50%=2万5,000円。入金した10万円がここまで目減りするということですので、その差である7万5,000円が、判定に達するまでに耐えられる評価損のおおよその大きさ、ということになります。ここで使っている維持率そのものの求め方は、証拠金維持率とは|FXでの計算方法とロスカットまでの目安で別に整理しております。
この「耐えられる評価損」は、ロスカット基準の数字が変われば当然変わってまいります。同じ入金額10万円・必要証拠金5万円で、基準だけを動かすと、こうなります。
| ロスカット基準(維持率) | ロスカット時の有効証拠金 | 耐えられる評価損(概算) |
|---|---|---|
| 20% | 1万円 | 約9万円 |
| 50% | 2万5,000円 | 約7万5,000円 |
| 100% | 5万円 | 約5万円 |
基準が低いほうが粘れる、という形ではあります。ただし粘れるということは、それだけ大きな評価損を抱えたまま持ち続ける可能性があるということでもあります。どちらが有利という話ではないと考えております。なお、この表は入出金・既決済損益・手数料・スワップポイントを一切含めない説明上の数値です。実際の判定には、これらすべてと各業者の判定方式が影響いたします。
レバレッジごとのロスカット計算例

同じ入金額でも、建玉を大きくするほど必要証拠金が増え、ロスカットに達するまでに耐えられる評価損はかえって小さくなります。ここは直感と逆に感じられる方が多いところではないでしょうか。入金20万円・ロスカット基準は有効証拠金維持率50%という前提で、必要証拠金だけを動かして並べてみます。
| 必要証拠金 | ロスカット時の有効証拠金 | 耐えられる評価損(概算) |
|---|---|---|
| 2万円 | 1万円 | 約19万円 |
| 4万円 | 2万円 | 約18万円 |
| 8万円 | 4万円 | 約16万円 |
| 10万円 | 5万円 | 約15万円 |
必要証拠金が2万円から10万円へ増えると、耐えられる評価損は約19万円から約15万円へ減ります。それに加えて、建玉が大きいほど同じ値幅の逆行でも評価損の増え方が大きくなりますので、判定に届くまでに必要な値幅は、表の差以上に小さくなる計算になります。適用レバレッジそのものを上げた場合、同じ建玉なら必要証拠金は減りますので、耐えられる評価損はむしろ増えます。なお、使えるレバレッジの上限は口座残高などで変わることがありますので、その条件は海外FXのレバレッジ規制まとめ|残高による制限と解除のタイミングを把握にまとめております。注意が要るのは、その余力を使って建玉を大きくしたときのほうだと考えております。
「レバレッジが高いほど余裕がある」と思っていた時期が、私にもありました。同じ建玉のままなら、必要証拠金が減るぶん計算上の余裕は確かに増えます。狭くなるのは、その余力を使って建玉を大きくしたときのほうなのです。
複数ポジションを持つ場合の計算

口座全体で判定する業者の場合、片方の建玉の含み益が、もう片方の含み損を打ち消す形になります。個別の建玉が大きく負けていても、それだけでロスカットが発動するわけではない、ということです。
例を出すならば、入金額10万円で米ドル円とユーロ円の建玉を同時に持っているとしましょう。米ドル円では評価損が出ているが、ユーロ円では評価益が出ている、という場面です。口座全体の有効証拠金を基準に有効証拠金維持率50%で判定する業者を仮定すると、判定に使われるのは両方を合算したあとの有効証拠金になります。合算後の維持率が50%以下になった時点ではじめて発動する、という仕組みです。
ただし、判定の対象を口座全体とするか建玉ごととするか、判定の時刻、発動したときに一部だけ決済するのか全部決済するのか——これらはいずれも業者の規定によって異なります。複数の建玉を持つ前に、ご自身の口座がどの方式なのかを取引約款で確かめておいていただきたいのです。同じ「維持率50%」という表示でも、何を分母に置いているかが違えば、発動する場面は変わってまいります。
ロスカット計算時の注意点

計算で出た金額は、損失の上限ではありません。ここが、この記事でいちばんお伝えしておきたい部分になります。ロスカットは損失の拡大を抑えるための仕組みではありますが、その水準で必ず止まることを約束するものではないのです。
- スリッページ——相場が急激に動いた際、基準となる価格では約定せず、さらに不利な価格で決済されることがあります
- 窓開け——週末をまたぐなどして価格が飛んだ場合、判定の水準を通り越したところから決済が始まることがあります
- 判定の間隔——判定が連続ではなく一定の間隔で行われる方式であれば、その間に水準を大きく割り込む可能性があります
- 業者ごとの差——維持率の水準、必要証拠金の求め方、判定時刻、一部決済か全決済かは各社の規定によって異なります
結果として、預けた証拠金を超える損失が生じ、追加の支払いが必要になる場合もございます。海外FXには元本の保証がなく、レバレッジによって損失は拡大します。計算した金額でぴたりと止まるという前提で資金を置かないこと——これが、計算そのものよりも大事な部分だと考えております。
実務的な資金管理への応用

先に決めるのは建玉の大きさではなく、失っても続けられる金額のほうです。計算の順番を逆にすると、数字の使い方が変わってまいります。
まず、1回の取引で失っても構わない金額を先に置きます。次に、その金額が「耐えられる評価損」に収まるような必要証拠金を、前の見出しの表と同じやり方で逆算します。そのうえで、必要証拠金から建玉の大きさを決める——という順番です。建玉を先に決めてから「いくらまで耐えられるか」を計算すると、出てきた数字が許容範囲を超えていても、そのまま持ってしまいやすいのではないでしょうか。
ただし、資金管理を行ったからといって、損失や資金の保全が保証されるわけではございません。前の見出しで書いたとおり、相場の急変や窓開けによって、計算した水準を超えて損失が広がる場面はあります。あくまで、想定外の幅を小さくするための工夫という位置づけになるかと思うのです。
よくある質問
この記事の数字は、すべて条件を仮に置いた概算です。読んでいて引っかかりやすい点を、4つにまとめました。
Q1. 記事に出ている「耐えられる評価損」は、実際に失う上限額ですか?
いいえ。上限ではありません。入出金・既決済損益・手数料・スワップポイントを含めない説明上の概算であり、相場急変時や窓開けの際には、その水準を超えた価格で決済されることがあります。預けた証拠金を超える損失が生じる場合もございます。
Q2. ロスカット基準は、どの業者でも同じですか?
同じではありません。日本で金融商品取引業の登録を受けた業者は金融庁の規制のもとで水準を定めていますが、海外に所在する業者は日本の金融庁に登録されていない場合があり、その場合は適用される法令も監督する機関も異なります。水準・判定方式ともに、ご利用の業者の取引約款と契約締結前交付書面でご確認ください。
Q3. レバレッジを上げると、ロスカットまでの余裕は増えますか?
条件によって分かれます。同じ建玉のまま適用レバレッジだけを上げた場合は、必要証拠金が減るぶん、計算上の耐えられる評価損は増えます。一方、その余力を使って建玉を大きくすると必要証拠金が増え、耐えられる評価損はむしろ小さくなります。記事の表では、入金20万円・維持率50%の前提で、必要証拠金2万円なら約19万円、10万円なら約15万円という計算です。
Q4. 複数の通貨ペアを持つと、判定はどうなりますか?
口座全体で判定する方式であれば、含み益と含み損を合算したあとの有効証拠金で判定されます。ただし判定の対象・時刻・一部決済か全決済かは業者ごとに異なりますので、同じ「維持率50%」の表示でも発動する場面は変わります。取引約款でご確認ください。
まとめ
計算の形は単純で、必要証拠金にロスカット基準を掛けるだけです。難しいのは、その3つの数字をご自身の口座の条件で埋めることのほうだと考えております。本記事の数値はすべて条件を仮に置いた概算であり、実際の判定には手数料・スワップポイント・既決済損益・各業者の判定方式が影響いたします。海外FXは元本も利益も保証されず、レバレッジにより損失が拡大し、相場急変時には預けた証拠金を超える損失が生じる場合があります。計算で出た金額を損失の上限として扱わないことが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
計算は概算。自分の口座条件で確かめる
この記事の数字は、条件を単純化した一例にすぎません。実際の水準は業者・口座タイプ・銘柄によって変わります。確認先は2つです。
- ご利用の業者の取引約款・契約締結前交付書面——ロスカット基準の水準、必要証拠金の求め方、判定の対象と時刻、一部決済か全決済かが書かれています
- 取引ツールの口座状況画面——有効証拠金と必要証拠金の現在値は、ここで確かめられます。計算に入れる数字はこちらが実際の値です
本記事は特定の業者・口座タイプ・取引手法を推奨するものではありません。取引をするかどうかは、ご自身の資金状況・経験・目的・リスク許容度に照らしてご判断ください。

